こけ

4月最終週は、いつもの月末の仕事にプラスして、退任と引継ぎのための書類の確認に追われる。

長く働いた。
知識も持たずに結婚し、子育てをしながら、どこがゴールか知らない真っ直ぐ続く道を、脇目もふらずに、ただひたすら早足で歩き続けたように思う。

リセットする時だ。
いつか読もうと、そのまま積んである本がたんまりある。
録画のポワロは制覇したけど、まだシャーロック・ホームズのシリーズが残ってる。
まとめて組み立てようと、大人買いしたDeAGOSTINIのムーミンハウスも手つかずだ。
訪れた事がない地への、気楽な1人旅もいい。
出来なかったことを一通り終えたら、大の苦手にも挑戦してみたい。
まともに膨らんだ試しがない、女子力UPのケーキやパンづくりとかね。

夢と願望と妄想を膨らませる。
朝はダラダラと起き、夜更かしをして本を読む。
怠惰なゆるゆる生活を送ってみたい。

そこへなんと!大量のスギゴケが、段ボール箱で届く。
夢から覚醒した。
確かに苔は頼みましたよ。
数量は、「ここから~この辺までの分をお願いね」と、子供に一任。
ここからこのへんよりも多くないかい?
・・・1人で1度に、この量は張れんやろ??
誰も手伝ってはくれない。
・・・パリパリになる前に、張らねばはるまい。

張ったわ。
完璧。
細かい宿根草や、庭石や、樹木の下を、腰を屈めパズルのように苔を埋める。
時々寒空を仰ぎ、痛い腰を伸ばす。
花粉症で絶え間なく流れる鼻水をかむ。
永遠に思える作業でも、いつか必ず終わりはくるものだ。
自分を褒め称えてあげたい。

そろそろ山の雪もとけた頃だろう。
second stage は森のなか。


↑ 今回頑張った、張りたてホヤホヤのスギゴケ。
↑ 1年前に張ったスギゴケ。
ふかふか。
雨に濡れると際立ち、一段と美しい。
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