ばっさり

自然にとけこむ薔薇がすき。
風で揺れる草花の中にあり、自己主張が強く目立っているはずなのに、不思議と調和がとれて馴染んでいる。
そういう薔薇に魅了される。
惹きつけられて、あらがえない。

小学生のとき、クラスに飾るのに持って行けと、出がけに庭の白い薔薇を持たされた。
担任の先生にとても良い香りだと褒められて、それまで何とも思ってなかったのに、まるで自分が育てていたかのように、得意気で嬉しかった。
「ヨハネパウロ2世」みたいな、ザ・シロバラだった。

薔薇は植物好きなら、誰しも1度は庭に植えたいと憧れる。
私も、ガーデニングショウ・バラ園・ナーセリー・カタログで、とりあえず目を肥やし、これなら育つだろうと思う品種を選んだ。
当時は植える場所が無くて、鉢植えに。

ところが5年で嫌になる。
薔薇はね、ミニサイズ以外は鉢植えに向かないと思う。

私が挫折した理由。
最低でも2年に1度、冬の間に植え替えが必要である。
1鉢ならともかく10鉢を超えると、外は寒いし、鉢は重いし、棘が痛い。
根性が試される。
ほぐした根から出た土の処分をどうするかも考えねば。
作業を怠ると根が詰まる。

植え替えが面倒なら、最初からとてつもなく大きな鉢に植えればいいじゃん、と閃いた。
ところが上手く成長しない。
新苗を数鉢枯らしてしまった。
本来薔薇は、仕切りのない広い地面に植えて育つのだから、閃きは間違ってないのだが、どうやら鉢に対する散水量が不足らしい。

鉢植えは置く場所も悩ましい。
薔薇は日光が大好きだけど、コンクリートの上に置くと、夕方には葉がヘナヘナに。
蚊と戦いながら水を撒き、翌朝葉は復活するけれど、毎日繰り返しているうちに弱ってくる。

そして嫌になった。
おてあげ。

それでも諦めきれず、地植えに転向した。
地面におろした萎びた薔薇たちは、いま生き生きと、草花と共存している。
単体の鉢では知りえない、素朴で美しい景色だ。

たいていの人は庭の薔薇を見ると、自身の実体験を思い出すのか、聞いた話しなのか、「薔薇はねぇ・・・育てるの大変でしょう?」と、神妙な顔で私に問いかける。
その通りです。

思うに、薔薇で挫折する人の多くは、年間管理の多さじゃないかな。

特に、病害虫の予防と駆除に費やす作業時間が多い。
「黒星病」と「灰色かび病」は殺菌剤。
「アザミウマ」と「アブラムシ」と「コガネムシ」は殺虫剤。
「雨の翌日に殺菌剤を散布すると効果的です。」と書いてありましてもね。
薬剤散布は晴れた日限定だし、仕事だってある。
先延ばしにしてたら、葉に黒い点々が現れ、あれよあれよという間にみすぼらしく、黄色の葉が落ちる。
さぁ待ってましたよ。ぷっくり膨らんだ蕾さん。
近くで見たら、びっしりアブラムシ。
綺麗に開いたと、覗き込んだらコガネムシ。
あちらの花もこちらの花も、コガネムシがぶんぶん飛び回り、花も葉も食べられ放題。
ちゃんと殺虫剤をまいてるんだけどなぁ。
他には、花がらつみ、肥料やり、軽剪定と強剪定。
つる薔薇なら誘引もある。

結論。
高温多湿で降水量が多い環境下、薔薇を1年中美しく保つのは難しい。
どれほど品種改良され、病害虫に強い薔薇だったとしても、体力と根気と時間が必要である。
梶みゆきさんの科学農薬を使わない、木酢液の散布は、実際のところどうなのだろう。
雨で流れると効果が落ちそうだが、まずは試してみないと始まらない。
良質の国産木酢液をたっぷり購入したので、今年の結果が楽しみだ。


「2021年12月~2022年1月の作業」
枝を短く切りつめた。
延ばしたままだと、雪で簡単にポッキリ折れてしまう。
予定の半分しか進まなくて、年末に雪が降り出しハラハラした。
翌年1月の晴れ間、雪がとけたので残りを終える。
折れてなくてよかった。
雪が降らない地域は、切り詰めも長めなのかな?
とにかく雪国は切る。
ついでに残っている葉も取り、細い枝も切る。
えぇ~せっかく延びたのに、こんなに短く?と思うほど。
遠慮ぜす、躊躇なく、ばっさり。
成長した姿を想像し、少しふくらんだ新芽の1cm上で、切り口に水が残らないよう、斜めに切る。
弱っている株、線が細いオールドローズ、つる薔薇は臨機応変に。
弱っているなら、私は軽い整枝程度で切らない。
そっとしておく。


「2022年2月の作業」
寒肥作業完了。
ついでに樹木と宿根草にも肥料を。
地面に雪が少し残っていたけど、翌日から大雪警報が出ていたので強行。
もうこれで、冬は何もしない。
あとは春を待つのみ。

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